木理がもたらす安らぎ色をもとめて-木目模様とカラーリング編①- (1999年にホームページで紹介したダイジェスト版です。)
木味をいかした温もり感のあるインテリアは、世代や性別によらず幅広い支持を受けています。ひとくちにウッディースタイルといっても、和風と洋風では趣きを異にします。これは使用される木材の種類や色調に、いくつものバリエーションがあるためです。
木製品の表情を豊かにしている木目模様とカラーリングには、その樹木的な基本特性にちなんだ相性があるといわれます。今回は木理に基づいた色づけによる効果と、建具塗装でとりわけ好まれる茶系色にまつわるエピソードを取り上げます。
木製建具に見られる木目は木材をたて方向にカットした断面に現われる模様で、一般にこれを木理(もくり)と呼んでいます。
木理は針葉樹と広葉樹でその表情が大きく異なります。針葉樹材はきめが細かくスムーズな表面感をもっていますが、対照的に広葉樹材ではラフで躍動感にみちた印象を与えます。
それぞれの材面の特徴が活かされて、日本では杉や檜といった針葉樹材を使った素木(しらき)の文化を誇ってきました。塗装しないそのままで美しい材面を活かした文化ともいえます。
着色した方が木理のダイナミックな美が断然と映える広葉樹材は、西洋の重厚な風格をおもんじる文化とともに高級調度品としての地位を確立したといえます。
このように色づけに対する心遣い、つまり材面のカラーコントロールは樹木のもつ魅力をいっそう際立たせるといった効果も備えているのです。