住宅気密性能の専門家・卜部さんのお住まいと木製玄関ドア

気密測定士・卜部さんのお住まい

暮らしの快適性と健康を守る、住宅の断熱・気密性能。
今回のコラムでご紹介する木製ドアご愛用者さまは、日本の住宅性能向上に貢献されている専門家。気密測定士・卜部さんのお住まいです。

この日は高湿度の記録的猛暑日でしたが、室内はサラリと快適な空気です。
住宅性能の専門家のご自宅へ伺います。

 

ユニークな外観デザインの秘密

(玄関ドアはユダ木工 MIYAMA桧玄関ドア 超断熱タイプ)

木製玄関ドアだけでなく、外壁にも鮮やかな赤色が取り入れられています。この鮮やかな赤色の部材は、ドイツ製の透湿防水シート『ウルト』です。

▲ドイツ製の透湿防水シート『ウルト』(切れ端)

透湿防水シートは、一般的には外壁の下地材の一部として使われる部材です。『ウルト』には多様なバリエーションがあり、今回のように仕上げ材として使用できるタイプもあります。

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卜部さん

ユダ木工の木製ドアに合わせて、珍しい赤色の『ウルト』を取り入れました。通常は塗り壁の下地として隠れてしまう構造を、あえて見せるユニークな外観にしています。ですから、「建築途中?」と未だに聞かれることがあります。

 

住宅と気密 気密はなぜ重要なのか

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ユダ木工

卜部さんはなぜ「気密」のお仕事をされるようになったのでしょうか。

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卜部さん

まず、日本で住宅の高断熱化やゼロエネルギーハウス化が叫ばれ始めた当初、「気密性能」の話はほとんどありませんでした。ここ山梨県富士吉田市は、北海道函館市と同じ3地域(※1)です。冬場は富士山からの吹き下ろしで非常に冷たい風が吹き付け、雨や雪も多いです。3地域としてはかなり南に位置するエリアとなります。

住宅省エネ性能に関する地域区分を色分けで表した日本地図のイメージ図

▲地域区分(イメージ図)

※1 地域区分:
建築物の省エネ性能基準は、国交省が定める「地域区分」に基づいて地域別に設定されています。
同じ日本国内であっても、地域によって気候風土は大きく異なります。
土地の気候風土に合わせて、最適な住宅設計も変わります。

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卜部さん

気密性能不足による問題は深刻なものが多く、躯体の内部結露や、窓ガラス凍結などが起こっていました。当時推奨されていた住宅性能の考え方だけでは不十分で、断熱とセットで気密と換気の技術が必要だと感じました。

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卜部さん

我々は北海道の家づくりから基本を学び、取り入れました。そして実際の家づくりに合わせて、現場で一つ一つ検証していきました。建築部材は国内だけでなく世界から探しました。先ほど見ていただいたドイツ製の透湿防水シートもその一つです。

 

【メモ:C値の話を後編「住宅性能と暮らしの快適性」に移動。前編は大型パネルと山梨県の取組を紹介し、卜部さんの話(=住宅性能向上に取り組む専門家)と玄関ドアの話にする】

気密測定

「C値(相当隙間面積)」という言葉を目にしたことがあるでしょうか。
家づくりに向けて情報収集をされている方は、ご存知かもしれません。

住宅の気密性能は「床面積あたりの隙間面積」=「C値」で表されます。

C値1.0という数字は、床面積1㎡あたり1㎠の「すきま」が開いている状態を表します。
この住宅が30坪の場合、家中のすきまを全て1か所に集めると10cm×10cmの穴になります。

C値1.0のイメージ図:床1平方メートルの室内の壁に、1平方センチメートルの穴が開いている様子

方法
屋内から屋外に送風する
屋内の気圧が下がり、
隙間から屋内に外気が流入する
家中の隙間の合計面積が分かる

大型パネル構法

MIYAMA桧玄関ドア 超断熱タイプ

卜部さん:
気密測定のときに、玄関ドアについても色々なポイントをチェックしました。「お!ちゃんと気密の配慮がされているな」というマニアックなポイントを見つけて私だけ喜んでいました。