健康な押入れって?

21世紀 住まいづくりのトレンドを探る(第2話)  -健康な押入れって? (1999年にホームページで紹介したダイジェスト版です。)

どうすれば「健康な押入れ」になるのか・・・。それは、カビをはやさない環境を整えること。
ポイントその1、押し入れ内と壁内に、断熱材を張る。カビは温度の低い場所にはえます。外気の温度がそのまま伝わる断熱材なしの部分は絶好のカビ生息地、まずそれをなくす作戦です。
これから家を建てようと思っている方は、工事現場を見せてもらうのもよいでしょう。というのも、押入れの結露問題は、施工不良が主な原因ともいわれているから。先生いわく、住まう側の確認を怠らない姿勢が大事である、とのことでした。
ポイントその2、その上から塗装なしの本物の板、いわゆる無垢材を張る。無垢材には湿気を吸ったり放出したりする湿度調整の機能が備わっているため、これを利用するのです。呼吸する無垢材、その証拠に無垢材は、乾燥すると縮んだり歪みを伴います。
「健康な押し入れ」には呼吸する本物の素材を使うことがミソ。本物であれば板は節だらけでも構わないのです。ちなみに合板はどうかというと、接着材に多く含まれるホルムアルデヒドによる影響(健康被害)が想定されるので勧められないとのことでした。
須貝先生の「健康な押し入れ」の話しで印象的だったのは、今は異常を感じなくても10年後には抵抗力のない身体になっていると危惧されていたことです。良い住宅の条件とは、押し入れや寝室の重要性に気付くことだと強調されておりました。たしかに人生のおよそ1/3は寝室で過ごすわけですから、そこから受ける影響は多いにあるはずですね。
難しい数式や専門用語で煙にまかず、大変親しみやすい雰囲気のなかで行われた講演会。住宅アレルギーの恐ろしさだけをあおるのではなく、原因をはっきりさせた上で具体的な対策を示すこと、これが私たち住まう側にとって一番知りたい本物の情報なのだと実感しました。
住宅の気密化によるシックハウス症候群の話しとWoodyな住まいづくりについては、第3話をどうぞ。