未来に大切な山をつなぐ 「たなべたたらの里」でヒノキの植林を行いました

たなべたたらの里での植林活動 “つながり”のつづき

これまでユダ木工では企業理念である「森を守り 暮らしに生かし 木と共に生きる」を基に、環境に配慮したモノづくりを目指し様々な取り組みを行ってきました。木材を「育てること」に主眼を置き、新たな取り組みを行います。カーボン・オフセット活動の一つとして植林・造林などの里山のプロジェクトに取り組まれる島根県雲南市吉田町「たなべたたらの里」を訪れました。

カーボン・オフセット及びJクレジット制度とは… 
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/mechanism/carbon_offset.html

前回のコラムにて、より詳しく説明しております。ぜひご覧ください。

次世代の木を育てる。カーボンオフセットがつなぐ、山を愛する人と人

ユダ木工ではオフセット・クレジット(環境省のオフセット・クレジット(J-VER)制度による認証を受けたクレジット)の購入に加え、植林活動を行いました。

 

木を植え、育てることを学ぶ

今回はユダ木工の主力製品となるヒノキの苗木を90本植えました。

傾斜面を鍬で根を切るように力いっぱい掘り苗木を植えます。苗木には表と裏があり、裏面は日に弱いため苗木は表面を日に当てようと自らひっくり返ろうとします。この動作で苗木に負担をかけないために裏面を西日に当たらない斜面側に向けます。

その後、土をかぶせ、雨風に負けないよう地面を踏み固めます。笹の葉をかぶせ「大きくなあれ」と声をかけ社員一人一人の手で心を込めて植えました。

普段使用しているヒノキのはじまりに携わることで改めて木は長い時間と手間がかけられたおもいの詰まった素材であることを感じました。

木は自然の山でも育つものですが、苗木を植えてから5年間の下刈り作業、そこから3年を置き除伐、20年経ったころから枝打ちや間伐を行い質の良い木へと育ちます。
その外にも自然環境を守るための取り組みとして「たなべたたらの里」では建材などには使用されない木材もバイオマスチップとして利用するなど資源の無駄を減らせるような努力をされています。

「木を育てることは水をつくること」山林部のSさんは森でのお仕事をそのように教えてくださいました。
森に光を入れ、適度に草を生やし、水をつくることは森づくりの重要なポイントです。光が入らず草が鬱蒼とした場所では木は大きく育ちません。逆に草が生えていない場所は浸食や地盤の崩壊によって自然災害も起きやすくなります。

人が適度に手を入れることによって、その山は暮らしを守り、木材や水などの恵みを与えてくれます。伐採するだけでなく、木を植え、環境を整える。そのように私たちの生活の豊かさを支えてくれた自然のサイクルを守ることが里山の仕事です。

 

たなべたたらの里とユダ木工

植林活動の後、「たなべたたらの里」の井上副社長に田部家と雲南市吉田町の歴史についてお話を伺いました。「たなべたたらの里」の淵源となった田部家の吉田村入部は鎌倉時代の1246年、そこから時を経て室町時代には製鉄がはじまりました。戦国時代の混乱や安価な洋鉄の流入、一時的な製鉄業の停止などの様々な苦難を乗り越えて、雲南市のたたら製鉄は現在も続いています。

500年以上前から続くたたら製鉄を支えたのは、たなべの里山の木々とその木の育つ環境に寄り添ってきた人々の力です。山を守り、その恵みを人の生活に生かすこと。それは日本の伝統を継承していくことにつながっていきます。

「たなべたたらの里」の活動・事業のテーマを聞いて感じたのは、「大切な山を守り、自然の恵みを生かす。先人の知恵を借りながら、未来の世代に受け継ぐ」という自分たちを育ててくれた自然・暮らしへの愛情深い気持ちでした。

「たなべたたらの里」では、木を植え、丁寧に手入れをして、山という我々に身近な環境を大切に育てています。手入れが行き届き、光が差し込む山で育った木は、人々の暮らしを豊かにする新しい何かへと生まれ変わります。例えばユダ木工でつくるドアの材料のように。「この豊かな自然の恵みを、人の暮らしに生かしたい」、その気持ちはユダ木工も同じでした。

 

たなべの里山の活動と、社員の感じたこと

製造部 T

山の環境を整えるには、山を「育てる」のが必要で、とても大切なことであると同時に、とても時間がかかる難しい問題であることを知りました

製造部 K

自然や昔の人たちの技術など“後世に残していくべきかけがえのないもの”を愛し守っていくことの素晴らしさを感じました

今回の活動を通して、私たちが普段使用している木が何十年にもわたる丹念な手入れのおかげで育ったことを実感しました。
たくさんの想いが込められた木を使って仕事できることに感謝し、その木がドアとして更に長く愛されるように、素材の魅力を生かしながら、丁寧で心のこもった仕事をしていこうと改めて決意しました。
この日、私たちの植林したヒノキが大きな、威厳ある木として成長してくれることが楽しみです。

 

新入社員教育の取り組み

今年の春から、企画営業部2名・製造部2名の新人がユダ木工に入社しました。今回のコラムは、社員教育の一環として新人4名が協力して取材し、記事にまとめたものです。ユダ木工では従業員一人ひとりが、木製ドアづくりを通して私たちにできることを考えていきます。