図書室の断熱改修ワークショップで、こどもたちとSDGsを学ぶ

これからのあたりまえへ SDGsワークショップ

廿日市市四季が丘市民センターで『内窓・断熱で「SDGs」ワークショップ』が開催されました。
このワークショップは近年問題視される地球温暖化の防止策として、次世代を担うこどもたちに断熱について学んでほしいという思いから廿日市市公衆衛生推進協議会の主催の元、企画されました。

公衆衛生推進協議会とは
「環境」と「健康」をコミュニティで守るために組織された任意団体で、広島県下すべての市町に組織されています。
地域の環境美化活動や地球温暖化防止運動、健康づくり事業など様々な活動を行っています。

四季が丘市民センターの図書館には内窓(二重窓)を設置され、対象の小学4年生から中学3年生までの参加者が断熱材を窓下の壁に入れる体験を行いました。
今回ユダ木工は協賛企業として参加し、断熱改修後の仕上げ材に使うヒノキ板を提供しました。

講演では断熱材の効果について解説したあと、玄関ドアの断熱において重要な気密について模型をもちいてこどもたちに説明しました。

 

SDGsと断熱

SDGsの達成において、地球温暖化は深刻な問題となっています。
「13気候変動に具体的な対策を」を中心に地球温暖化の改善はSDGsの様々な目標達成に関連しています。
今回のワークショップでキーワードとなったのは『断熱』。暑さや寒さに対して、たくさんのエネルギーを使用するのではなく、外部からの熱の移動を防ぐことで、少ないエネルギーでも快適な室内環境を維持することができます。
断熱性能を高めることは、暖房・冷房などのエネルギーを節約し、温室効果ガスの排出量を削減することができます。また冷暖房にかかる光熱費を抑えることにもつながります。

 

断熱改修を体験

講演の後、こどもたちは実際に断熱改修の施工体験を行いました。断熱材を切り、壁にはめ込み、仕上げのヒノキ板材で蓋をします。

断熱材をはめ込む壁の下地部分には、記念としてこどもたちがサインを書きました。

作業後図書室の室温を比べたところ、断熱材を入れる前の窓前の温度は30.2度でしたが、断熱材を入れた後は26.8度まで変化しました。こどもたちは二重窓の間に手を入れ、内窓の断熱性能に驚いた様子をみせました。

 

対策の効率化へ

廿日市市公衆衛生推進協議会事務局長の山田様は2030年の省エネ基準の水準引き上げからも、断熱について子供のときから教育が必要だと感じ、今回のワークショップで学んでほしいと語りました。
文部科学省によれば、およそ10年前には約32%だった小中学校の冷暖房の設置率は令和4年度で約95%へ上昇しています。

朝日新聞では高校での校舎の断熱改修ワークショップなどの学校での「冷やし方改革」が紹介されました。快適さや安全対策のため空調設備の普及率が伸びるなか、電気代の増加が問題視されています。普及が進んだ次段階として、個人の住宅に限らず、公共の建築物においても、断熱によるエネルギーの効率化が注目されているのです。

 

壊れないものにお金をかける

Forward to 1985 energy lifeの川端様はこどもたちへの講演で「穴が開いたバケツに大量の水を使うよりも、穴をふさいだあと水を溜め始める方が無駄がない。これと同じように断熱性能の悪い家ではエネルギーがどんどん外に流れ出してしまう。」と説明されました。そしてこどもたちに「壊れないものにお金をかける」ことの重要さを伝えました。

将来住まう家を想像することは、こどもたちにとっては難しいことかもしれません。
しかし普段目にすることができない壁の中や窓の断熱について知り、体感したことで、より具体的に断熱の重要性や快適さを感じられたのではないでしょうか。

1985アクションとは
2011年の福島原発事故をきっかけに始まった、家庭でのエネルギー消費量を賢く減らし、現在の約半分である1985年当時のレベルにしようというアクション。目指すは「我慢の省エネ」ではなく、新しい技術を活用しながら、住まい手と住宅のつくり手による「賢く楽しく進めていく省エネ」です。

 

取材協力

廿日市市公衆衛生推進協議会様
http://kouei-kyo.hatnet.jp/

Forward to 1985 energy life様
https://to1985.net/