木製ドアの再塗装をしたいのですが、どうすればよいですか?
「ドアの再塗装をしたいので、どうすればよいか教えてほしい」
住まい手さまから、木製ドアのメンテナンスについてのお問合せをいただくことがあります。2020年以降の外出自粛やテレワーク、新しい生活様式の普及によって、自宅にいる時間が長くなり、ホームメンテナンスに関心が高まっています。
そして「再塗装が上手くできました」と、喜びの声とお写真をいただく機会もまた増えました。木製ドア専門メーカーのユダ木工がご提案を続けてきた「植物由来の自然塗装で、木製ドアを手入れしながら永く愛用する」ことに共感し、木製ドアのある暮らしを楽しんでくださっているお客さまの声はたいへん嬉しいものです。
今回、お問合せいただいたYさま(仮名)宅の木製ドアは15年前に製造した玄関ドアでした。
再塗装のために、塗料の品番と塗装の方法について教えていただきたいです。
(再塗装前の木製ドア)
扉の屋内側は綺麗です。できれば色を揃えたいと思っています。
(木製ドア 屋内側の様子)
お話を伺ったところ、入居9年目に再塗装をした際、塗料の塗布量が多すぎてペンキでペッタリと塗りつぶした感じに仕上がってしまったが失敗、今回は屋内側と同様に木目が出るようにしたい、とのことでした。写真を拝見すると扉の下方は雨がかりのため白くなっています。(※塗料の「塗り過ぎ」は塗装の失敗に最も多い原因です。塗装の際は通常のペンキのように塗らず、少量を薄く薄く伸ばしましょうポイント!)
ユダ木工では、施工店名・施主名・納入時期が分かれば、納品した商品の種類・塗装・吊元・金物等がすぐにお調べできるシステムを導入しています。受注履歴から塗料のメーカーと品番をお調べし、塗料メーカーのオンラインショップと、ユダ木工のメンテナンス解説動画をご案内しました。納入15年目。2回目の再塗装をご自身で行なっていただく運びとなりました。
玄関ドアの再塗装ができました
そして、Yさまから「玄関ドアの再塗装ができました」と、一通のメールが届きました。
再塗装ができました。
お聞きした塗料と併せてオスモブラシ、ハケも購入して挑戦しました。
今回は塗り方をよく調べたので、再塗装をしていない内側の扉と近い色になり、木目も復活して大満足の仕上がりです。前回一缶まるまる使った0.75L缶が、今回は半分以上余りました
ポイント!。
1 サンドペーパーで塗装を落とす
2 着色塗料を塗装
3 クリアワックスを塗装(詳細はこちら)
の手順で再塗装をしました。
ご自宅の木製ドアを再塗装されたYさまにインタビュー
今回、ご自宅の木製玄関ドアをみずから再塗装されたYさま。使用した道具や、苦労した点、成功の秘訣などについてお尋ねしました。
Q. とてもきれいに再塗装されていますね。
ペーパーがけは人力ですか?機械などは使用しましたか?
A. サンドペーパーを使って、人力で行いました。
Q. サンドペーパーの目の粗さが分かれば教えてください。
A. #240です。3枚半使いました。
(元の塗装を落とさないメンテナンス「重ね塗り着色(詳細はこちら)」の際に推奨している#400より、少しだけ粗めのサンドペーパー。目の粗すぎるペーパーを使用するとキズになりやすいです。そのため、今回のように塗装を落とすメンテナンスでは#240程度を推奨しています)
Q. ご家族のどなたがメンテナンスをされたのですか?
A. 夫婦2人で作業しました。
Q. メンテナンスの際、苦労した点について教えてください。
A. サンドペーパーでの塗装はがしです。天気は曇りでしたが汗だくになり、細かい黒い粉が顔や手の爪の中にまで付きました。すぐに軍手の中にビニール手袋をしたところ、粉は防げましたが蒸れました。ドアの下の方は力を入れづらく難しかったです。
(ペーパーがけを行うYさま)
(しっかりと塗装を落とし終えた木製ドア)
Q. 成功の秘訣についてお聞かせください。
A. いろいろ調べて実行したのは、サンドペーパーで塗料を落とし木地調整をすること(※)ポイント!。そして前回のように塗りつぶさず木目を出したかったので、腰の強いハケで木目に沿って薄く薄く塗り伸ばすポイント!ことに気を付けました。
※ 木地調整=塗装前に木目に沿ってサンドペーパーをかけ、木地を整えること。塗装の仕上がりの8割は、この木地調整によって決まります。(参考動画はこちら)
塗料の量を調節するために、試し塗り用の木片で余分な塗料を落としながら塗装しました。塗り継ぎ部分や塗りムラは、上から再度なぞるように、板の端から端まで木目に沿って伸ばすときれいに仕上がりましたポイント!。
ハケで薄く塗り伸ばした後、布で刷り込むように塗り広げ、拭き取る方法もあります。どちらの方法も正解です。ハケで薄く伸ばそうとしても塗り過ぎた感じになってしまう、という場合は、布で拭き取る方法をお試しください(参考記事①)(参考記事②)。
Q. ペーパーがけから完成までの所要日数はどのくらいでしたか?
A. 同じ日にペーパーがけと着色塗装をしました。休憩をのぞくと、塗装はがし約4時間、着色塗装は1時間くらいだったと思います。11日後にクリアワックスを塗装しました。これは養生も込みで1時間で終わりました。
(追記 ペーパーがけのための電動工具もあります(詳細はこちら)。作業時間を短縮できます)
Q. 「オスモブラシ」はどんな用途で使用しましたか?
A. ドアのデザインの細い部分や、鍵・ハンドル周りの塗装に重宝しました。
写真一番上の細いハケが「オスモブラシ」。その下のオスモのハケ(詳細はこちら)も、腰が強くとても良いハケです。このような腰が強くしっかりとしたハケを使うと仕上がりがぐっと綺麗になりますポイント!。
塗装にとって、ハケはとても重要で奥が深いです。後日、ユダ木工の職人が使用しているハケと塗装について、コラムにてご紹介したいと思います。
Q. 玄関ドアの設置条件(設置環境)について教えてください。
A. 玄関の真上にベランダがあり、庇になっています。袖壁は写真の通りです。
しっかりと庇が設けられている玄関。設置条件は必要なメンテナンスの種類や頻度に大きく関わります。木製ドアを長くご愛用いただくために、直射日光や雨がかりからドアを守る設計は大切ですポイント!。
錆びていたドアハンドルは、取材にご協力いただいたお礼にプレゼントとして交換品をお贈りしました。
ご協力くださったY様、ありがとうございます。
ユダ木工では、玄関ドアをご採用いただいたお客さまへ、お引渡し時にメンテナンス用品一式とガイドを同梱した「ユーザーサービスキット」をお渡ししています。
よりいっそう、木製ドアのメンテナンスが皆さまにとって身近なものとなるように、最近ではYouTube等で動画を配信するなど、メンテナンスへの理解をさらに深めていただくための新しい試みも進めています。
木製玄関ドアの種類や状態に応じたメンテナンス