小さな屋根断熱 都市型養蜂と暑さ対策

小さな隣人のための屋根断熱

ユダ木工の屋上には、ミツバチの巣箱を設置しています。つかもと養蜂場様とともに2019年から取り組んでいる都市型養蜂です。ミツバチは地域環境のバロメーターとも言われます。こうして小さなミツバチたちが元気に飛び回ってくれるのは、私たちの周囲の環境が健康であるからです。

ゴーヤの花にとまるミツバチ

そんなミツバチたちの巣に、今年は異変がありました。木箱の中には、ミツバチが作り出す蜜蝋でできた巣があります。蜜蝋が溶ける温度は60℃超ほどだそうなのですが、この蜜蝋の巣が、猛暑のため一部溶けてしまっていたのです。養蜂家さんも「こんなことは初めてです」と驚かれていました。

▲ 直射日光が当たると、巣箱の表面温度は50℃を超えていました。

 

断熱屋根を設置する

木製玄関ドアの材料を加工して、急遽断熱屋根を造ります。屋根は巣箱のメンテナンスのために取り外しやすいものでなくてはいけませんが、台風で飛ばないようにする必要もあります。

完成した断熱材入りの屋根を巣箱に設置しました。小さな家の「屋根断熱」です。これでひとまず上から来る強い日差しの熱を防ぐことができます。横からの日差しも軽減するために、天然乾燥中の木材(燃料用)を隣に置きました。これでしばらく様子を見ます。

幸い、今のところミツバチたちの様子には異常がないようです。もともと屋上のコンクリートは土や芝生と違って高温になりやすい環境ですが、巣が溶けてしまうとは誰も予想していませんでした。

年々過酷になる夏の猛暑に、これまでは大丈夫だったことも来年はどうか分かりません。熱中症にかかる方も増えているように感じます。私たちの暑さ対策と同時に、ミツバチたちが少しでも暮らしやすいように、巣箱周辺の環境を改良中です。

余談ですが、建築家の奥村昭雄氏は自ら日本蜜蜂の養蜂をされていたそうです。著書『時が刻むかたち』の中で、養蜂の試行錯誤や日本蜜蜂たちの生活が、素敵なスケッチとともに紹介されているのです。家具工房の職人や道具が登場する養蜂の様子が面白く、驚きと愛と敬意をもって描かれるハチたちの生活もたいへん魅力的です。自然と調和した「パッシブ」な暮らしを研究されていた奥村氏の目線で、人と自然との関りが豊かに描かれている一冊です。